物質の三態の覚え方

固体→液体→気体
この駅で誘拐状とは古希でしょうか?

気体→液体→固体
消えた子、しゅく子と聞こう商業歌

蒸気圧降下と沸点上昇
徐行で浮上、よし、喉にヒレ

物質の三態

物質の三態については、それぞれの言葉の意味について出題されます。
当たり前すぎる知識ですが、勘違いのないように整理して覚えなおしておきましょう。

  • 固体
  • 液体
  • 気体

物質の三態の変化

融解、蒸発、凝固、凝縮

現象     融解     蒸発
温度     融点     沸点

熱を吸収  (融解熱)  (蒸発熱・気化熱)
        →     →
     固体    液体    気体
        ←     ←
熱を放出  (凝固熱)  (凝縮熱)

現象     凝固     凝縮(液化)
温度     凝固点    沸点

昇華

昇華は、固体が液体になることなしに直接気体になることです。

昇華する物質には硫黄やナフタレンがあります。

現象     昇華
熱を吸収   昇華熱
        →
     固体    気体
        ←
熱を放出   昇華熱
現象     昇華(凝華)

物質の三態の変化のまとめ

固体→液体→気体

固体<→融解→>液体<→蒸発→>気体
固体<→昇華→>気体

語呂:この駅で誘拐状とは古希でしょうか?
(融解を文書で伝えようとしているから高齢者だと推理しています)
この  :固体
え   :液体
きで  :気体
誘拐  :融解
状とは :蒸発
古   :固体
希で  :気体
しょうか:昇華

気体→液体→固体

固体<←凝固←>液体<←凝縮←>気体
固体<←昇華(凝華)←>気体

語呂:消えた子、しゅく子と聞こう商業歌
消  :気体
えた :液体
子  :固体
しゅく:凝縮
子と :凝固
聞  :気体
こう :固体
商  :昇華
業歌 :凝華

三態の変化と温度

  • 融解:融点
  • 蒸発:沸点
  • 凝固:凝固点
  • 凝縮:凝縮点

水の場合、融点と凝固点、沸点と凝縮点は一致
→これらが異なる物質もある(高分子化合物等)

融解熱と蒸発熱

  • 融解熱:固体1gが融解するときに吸収される熱量
  • 蒸発熱(気化熱):液体1gが蒸発するときに吸収される熱量

物質の状態図

物質の状態図は、ある温度と圧力における物質の状態(三態)を示した図です。

下の図は水の状態図です。

水の状態図
出典:サントリーホールディングス「水の科学 氷・水・水蒸気…水の三態」
  • 融解曲線:固体と液体の境界線、固体と液体が共存
  • 蒸気圧曲線:液体と気体の境界線、液体と気体が共存
  • 昇華圧曲線:固体と気体の境界線、固体と気体が共存
  • 三重点:3本の曲線の交点、三態が共存
  • 臨界点:気体と液体の区別がつかなくなる圧力と温度→圧力を高めても凝縮が起こらなくなる

沸点と飽和蒸気圧

沸点と沸騰

沸点は、液体が沸騰をはじめる温度です。

沸騰は、液体内部から起こる気泡の形成を伴う気化現象です。
液体内部で気泡がつくられることがポイントです。

飽和蒸気圧

気液平衡になったときの気体の圧力が、その温度における飽和蒸気圧です。

気液平衡

気液平衡は、液体から気体になる蒸発と、気体から液体になる凝縮の速度が等しくなり、液体と気体の量が変化しなくなっているように見える状態です。
言い換えると、見かけ上、液体と気体の変化が起こっていない状態のことです。

一般に、液体の温度が上昇すると、飽和蒸気圧は上昇します。
温度上昇とともに飽和蒸気圧も増大、沸点になると飽和蒸気圧が外気圧と等しくなり、蒸発速度が凝縮速度を上回るようになります。

    外気圧             外気圧
  ↓↓↓↓↓↓↓          ↓↓↓↓↓↓↓
―――――――――――液面 ⇒  ―――――――――――液面
  ↑ ↑ ↑ ↑    液温上昇  ↑↑↑↑↑↑↑
   飽和蒸気圧             飽和蒸気圧

これが沸騰で、液体が沸騰しているとき、その飽和蒸気圧は外気圧と等しくなっています。

蒸気圧降下

蒸気圧降下

蒸気圧降下は、不揮発性物質を溶かした(希薄)溶液の蒸気圧が、純溶媒に比べ低くなることです。

例えば、砂糖や塩を水に溶かすと、蒸気圧が水よりも下がるということです。

蒸気圧降下と沸点上昇

不揮発性物質を溶かした(希薄)溶液の沸点は純溶媒に比べ高くなります。
つまり、蒸気圧降下があると、沸点は上昇します。

例えば、砂糖や塩を水に溶かすと、沸点が上がり、100℃以上になるということです。

溶液の蒸気圧が低下
→外気圧と飽和蒸気圧が等しくなるためにはより高い温度が必要
→より高い温度で沸騰
=沸点上昇

蒸気圧降下と溶質の濃度

希薄溶液の蒸気圧降下の程度は、溶質の種類に関係なく、溶質の濃度(質量モル濃度)に比例します。

語呂:徐行で浮上、よし、喉にヒレ
(半魚人か何かが、ゆっくり浮上しながら喉のヒレを確認しています)
徐行で  :蒸気圧降下
浮上   :沸点上昇
よし   :溶質の
喉に   :濃度に
ヒレ   :比例

甲種試験では、溶質の濃度を比較させる問題も出ますが、乙種試験では、蒸気圧降下と沸点上昇は、溶質の質量モル濃度に比例することだけ覚えていれば十分です。