自然発火・粉じん爆発・混合危険の覚え方
乾性油の自然発火
士官用アーマーさん
混合危険
今期のサッカー部さんへ協賛、スリーバックのアンジュとスカシ
自然発火
自然発火は、物質が常温の空気中で自然に発熱し、その熱が蓄積されることで発火点に達して燃焼をはじめる現象です。
自然発火は、意図的な点火源がない、加熱されていない状態で発生するものです。
自然発火の発熱源
- 酸化熱:乾性油、原綿、石炭、ゴム粉、鉄粉等
- 分解熱:セルロイド、ニトロセルロース等
- 発酵熱:堆肥、ゴミ、干し草等
- 吸着熱:活性炭等
- 重合熱:酸化プロピレン、アクリル酸等
酸化熱による自然発火
乾性油、原綿、石炭、ゴム粉、鉄粉等は、空気中の酸素に触れて酸化され、酸化熱を生じます。
この酸化熱が蓄積すると発火することがあります。
これが酸化熱による自然発火です。
乾性油の自然発火
乾性油が空気に触れると、分子内の不飽和結合に酸素が結合、つまり酸化されて、酸化熱が発生します。
この酸化熱が蓄積され、発火点に達すると発火します。
乾性油とは
ヨウ素価が大きい(ヨウ素価130以上)油脂を乾性油といいます。
乾性油は不飽和度が高い、不飽和結合が多い油脂で、乾きやすく、空気中に長時間放置すると、酸化により固化し、自然発火を起こしやすくなります。
ヨウ素価とは
ヨウ素価は、不飽和結合の多さを表す指標です。
ヨウ素価は、油脂100gが吸収するヨウ素のグラム数で、不飽和度が高い(分子内に不飽和結合が多い)油脂ほどヨウ素価が大きくなります。
代表的な乾性油
- アマニ油
- キリ油
「自然発火/乾性油/ヨウ素価が大きい/アマニ油/酸化熱」のキーワードだけで得点できることも少なくありません。
語呂:士官用アーマーさん
(偉い人用の鎧です)
士 :自然発火
官 :乾性油
用 :ヨウ素価が大きい
アーマー :アマニ油
さん :酸化熱
ちなみに、甲種試験では「乾性油を染み込ませた布を積み重ねていたところから自然発火」という状況が出題されやすくなっています。
いずれ乙種でも出題されるかもしれませんので、頭の片隅にでも置いていてください。
可燃性粉体の堆積物の自然発火
可燃性粉体の堆積物は、次のような環境で発熱とその蓄熱が進み、自然発火を生じやすくなります。
- 空気中の湿度が高い
- 気温が高い
- 堆積物内の温度が高い
- 物質の表面積が大きい(空気との接触面積が大きい)
- 物質の熱伝導率が小さい(熱が伝わりにくい=熱が蓄積しやすい)
可燃性粉体の堆積物の自然発火事故の例
- ごみ固形燃料発電所のサイロの爆発・火災
- 廃棄物リサイクル施設での爆発・火災
- 大豆サイロでの爆発
- 石炭貯蔵施設での火災・爆発
可燃性粉体の堆積物の自然発火と粉じん爆発
可燃性粉体の堆積物の自然発火は、粉じん爆発につながるおそれがあることにも注意が必要です。
重合熱による自然発火
酸化プロピレン、アクリル酸等の重合による発熱で自然発火が発生することがあります。
平成24年(2012年)に重合熱が原因で、消防隊員が亡くなるほどの大きな事故が発生しました。
重合熱による自然発火は危険なもので、発生の可能性があれば警戒しなければならないものです。
ただ試験対策としては、上記の事故から10年以上経過していることもあり、今後同様の事故がない限り出題頻度は低下していくものと考えられます。
粉じん爆発
粉じん爆発は、空気中に浮遊する可燃性の固体微粒子による爆発です。
粉じん爆発の特徴
- ガス爆発に比べ、最小着火エネルギーは小さいが、爆発時の発生エネルギー(発生熱量)は大きい
- 有機物の粉じん爆発の場合、不完全燃焼になりやすく、一酸化炭素が発生しやすい
- 爆発的な燃焼が伝播して持続(爆発→周囲の粉じんを舞い上げる→舞い上がった粉じんが爆発→…)
粉じん爆発が起こりやすい条件
- 粒子が細かい
- 空気中で粒子と空気がよく混合している
- 空気中に浮遊する粉じんの濃度が爆発範囲にある
閉鎖空間では上記の条件を満たしやすく、粉じん爆発が起こりやすくなります。
一方、開放空間では粉じんが拡散し、爆発範囲になりにくいため、粉じん爆発が相対的に起こりにくくなります。
混合危険
混合危険は、2種類以上の物質を混合することで、物質単体が有する危険性よりも高い危険性を生じることを指します。
「混ぜたらもっと危険」、「危険×危険=ずっと危険」
なお、混合したものに加熱、衝撃、摩擦等を加えることによって発火・爆発するものも混合危険に入ります。
混合危険の組み合わせ
酸化性物質と還元性物質の混合
発火・爆発の危険があります。
酸化性物質(第1類及び第6類危険物等)と還元性物質(第2類及び第4類危険物等)
酸化性塩類と強酸の混合
発火・爆発の危険があります。
酸化性塩類(第1類危険物)と強酸(硫酸、硝酸等)
危険物第3類
第3類危険物について、自然発火性物質は空気と、禁水性物質は水と、それぞれ混合すると発火・爆発の危険があります。
爆発性物質を生成する混合
物質が化学反応を起こして敏感な爆発性物質を生成する場合があり、爆発の危険があります。
アンモニアと重金属(特に水銀、銅や銀)の混合には特に注意が必要です。
混合危険の語呂合わせ
語呂:今期のサッカー部さんへ協賛、スリーバックのアンジュとスカシ
(サッカー観戦がよほど好きなのでしょう。スカシは今泉君のことかと。あと、一人足りませんが…。)
今期の :混合危険
サッカー部 :酸化性物質と還元性物質
さんへ(え):酸化性塩類
協賛 :強酸
スリー :危険物第3類
バックの :爆発性物質
アン :アンモニア
ジュと :重金属
ス :水銀
カ :銅(copper)
シ :銀(silver)