危険物乙4試験が難しくなっているといわれることがあります。
実際のところはどうなっているのでしょう。
危険物乙4試験は難しくなっているのか
危険物乙4試験は、長期的に見れば難しくなっていますが、難関試験になるほど難しくはなってはいません。
しっかり勉強すれば十分合格できる試験です。
今後も長期的には難しくなっていきはしますが、合格が困難になるほど難しくなることはないでしょう。
技術系資格の試験は長期的には難化する
危険物取扱者を含む技術系資格の試験は、長期的には難化する傾向にあります。
新しい技術の登場や普及
新しい技術の登場や普及があれば、資格もそれらに対応しなければなりません。
新技術についての問題が出されるようになり、資格試験は難化することになります。
新制度の導入
社会の変化や新しいタイプの事故が発生すると、それらに対応した新制度が導入さることがあります。
新制度に対応した出題がされるようになり、資格試験は難化することになります。
常識の水準の変化
常識の水準が変化することで資格試験が難化することもあります。
大学進学率の上昇やコンピュータの普及によって技術に関する常識の水準は引き上げられました。
一部の高齢者のように、こうした常識の変化に縁の薄かった方にとっては資格試験は難化しているように思えるでしょう。
逆に生活環境の変化によって、生活の中で得られる科学的な観察の機会が失われ、科学的な常識の水準の低下も起こっています。
例えばオール電化住宅で育った子どもは火を見たことがないまま育つそうです。
彼らにとって燃焼の問題は難しく感じることになるでしょう。
長期的な傾向として、技術系資格試験は難化していきます。
そうであるなら、試験が少しでも易しいうちに、一日も早く勉強をはじめて、一日でも早く合格するのが合理的です。
思い立ったら勉強をはじめて、とっとと合格してしまいましょう。
危険物乙4試験の難度は短期的な変化が大きい
危険物乙4試験の合格率の推移
危険物乙4試験の合格率は、変動はあるものの30%程度で推移しています。
危険物取扱者試験の実施団体である一般財団法人消防試験研究センター「試験実施状況」によると、平成24年度から令和4年度までの合格率の推移は次のとおりです。
受験者数(人) | 合格者数(人) | 合格率(%) | |
---|---|---|---|
H24 | 293,211 | 98,764 | 33.7 |
H25 | 283,193 | 90,061 | 31.8 |
H26 | 275,415 | 80,347 | 29.2 |
H27 | 271,234 | 79,718 | 29.4 |
H28 | 264,946 | 76,575 | 28.9 |
H29 | 256,587 | 88,328 | 34.4 |
H30 | 240,102 | 93,667 | 39.0 |
R1 | 221,867 | 85,669 | 38.6 |
R2 | 200,876 | 77,466 | 38.6 |
R3 | 234,481 | 84,564 | 36.1 |
R4 | 223,009 | 70,211 | 31.5 |
危険物乙4試験の合格率は大きく変化しています。
平成26年から平成28年度までの3期にわたり30%を下回るほどの低水準でした。
その後上昇、平成29年度から令和1年度までの3期については40%に迫る高水準を続けました。
さらにその後は低下して令和4年度は31.5%となっています。
危険物乙4試験の問題の難度は大きく変化
危険物乙4試験は相対評価ではなく絶対評価、3科目それぞれで合格基準の60%以上を得点すれば合格できます。
短期間で受験者層の学力が大きく変化するとは考えにくく、合格率の変化は試験問題の難度の変化と考えられます。
したがって、上記の期間中、危険物乙4試験の問題の難度は大きく変化していることがわかります。
危険物乙4試験は難化したのか
危険物乙4試験は過去11年間で難しくも易しくもなったというのが実態です。
危険物乙4試験の合格率は過去11年で28.9%(平成28年度)から39.0%(令和1年度)までの間で変化してきました。
この間の合格率を単純に平均すると33.7%です。
令和4年度は31.5%と平均よりも低い水準となっていて、相対的に難しい時期にあります。
したがって、令和4年度については、最低水準だった6~8年前に比べればやや優しくなっているものの、難しくなったといっていいいでしょう。
今後はどうなるかわからない
令和4年度の単年度で見れば、過去数年度に比べて危険物乙4試験は難しくなってます。
しかし、今後どうなるかはわかりません。
危険物乙4試験の合格率は短い間に大きく変化してきています。
合格率が低い時期が続くのか、それともまた高くなるのか、なってみなければわかりません。
危険物乙4試験の易化する可能性について
危険物乙4試験が易化していく可能性を考えます。
受験者減少による試験の易化
危険物乙4試験の受験者数は減少傾向が続いています。
今後、危険物乙4試験の受験者数が極端に減少し、必要な合格者数を維持できない事態が起こるかもしれません。
危険物取扱者試験は相対評価ではなく絶対評価なので、受験者が減っている中で合格者を増やすためには、試験問題を簡単にするか、合格基準を引き下げるかして、試験を易化することになります。
そこで、今後の受験者数の動向について考えてみます。
Fig.2は危険物乙4試験の受験者数及び合格者数に同時期の日本の労働力人口(男性15~65歳)を重ねたものです。
グラフからわかるように、危険物乙4試験の受験者数と日本の労働力人口(男性15~65歳)とは似た推移をしています。
危険物乙4試験の受験者数は、その中心的な受験者層である働く男性の数と強い相関があるといえるでしょう。
ちなみに受験者数と労働力人口との相関係数は0.81と高くなっています。
今後も受験者数の減少が見込まれる
日本の働く男性の数は継続的に減っていくことが見込まれています。
すると、それと高い相関がある危険物乙4試験の受験者数も減少していくことが予測されます。
仮に、危険物乙4試験の受験者が減少し、必要となる合格者数を維持できなくなった場合には、試験を易化して合格率をあげるようなことがあるかもしれません。
そうなれば今よりも簡単に危険物乙4試験に合格できるようになるかもしれません。
そんな未来がいつか来るかもしれませんし、来ないかもしれません。
危険物乙4試験は難しくなっている
技術系資格は長期的には難しくなる傾向があり、危険物乙4試験にもその傾向があります。
ただ、危険物乙4試験の難易度は短期的に大きく変化しており、直近はやや難しくなっている状況です。
今後のことはわかりませんが、現状危険物乙4試験はやや難しくなっています。