危険物乙4試験を一夜漬けで合格するために、危険物に関する法令で欠かすことのできない頻出分野についてまとめていきます。

危険物乙4試験での一夜漬けはおすすめしませんが、時間がなければ仕方がありません。
できる限りのことをやって、ギリギリまで足掻こうじゃありませんか。

このページでは危険物に関する法令の頻出分野をまとめています。
ここに挙げた項目で、確率的には出題の半分程度をカバーできるでしょう。
運が良ければ合格圏に手が届くのではないかと考えています。

なお、語呂合わせの中には記憶に残りやすくするため、おかしな表現を使っているものがあります。
あくまで試験用ということでご容赦頂ければ幸いです。

一夜漬けの危険物に関する法令

危険物に関する法令の頻出項目

危険物乙4試験の危険物に関する法令では、以下の項目が頻出です。

  • 危険物の定義
  • 危険物第4類の定義
  • 危険物第4類の指定数量と倍数計算
  • (製造所等の定義)
  • 製造所等の設置・変更の許可
  • 仮使用承認
  • 危険物取扱者の免状
  • 保安講習
  • 危険物保安監督者
  • 予防規程
  • 定期点検
  • 保安距離
  • 運搬の基準
  • 消火設備
  • 措置命令
  • 許可の取消または使用停止命令

危険物の定義

危険物の定義を覚えているだけで得点できる問題も少なくありません。
しっかり覚えて確実に得点しましょう。

危険物とは

危険物とは、「火災や爆発の危険性がある物質のうち、法別表第一の品名欄に掲げる物品で、同表に定める区分に応じ同表の性質欄に掲げる性質を有するもの」をいいます。

法別表第一に掲げる物品

消防法で定められていて、市町村条例等では定められません。

火災に対する危険を考慮

人体への毒性や環境への汚染等は考慮しません。

常温常圧で固体または液体

常温常圧(20℃1気圧)で固体または液体です。

常温常圧(20℃1気圧)で気体の物質は危険物に該当しません。
プロパンガス、液化石油ガス等

危険物の類ごとの性状

法別表第一で危険物を第1類から第6類までに分けて性質及び品名を掲げています。

これらを覚えているだけで得点できる問題も少なくありません。

第1類:酸化性固体
第2類:可燃性固体
第3類:自然発火性物質及び禁水性物質
第4類:引火性液体
第5類:自己反応性物質
第6類:酸化性液体

語呂:賢しい事故さ、ここぶえぶえ

さ :酸化性   こ:固体
か :可燃性   こ:固体
し :自然発火性 ぶ:物質(固体・液体)
い :引火性   え:液体
じこ:自己反応性 ぶ:物質(固体・液体)
さ :酸化性   え:液体

危険物第4類の定義

特殊引火物

特殊引火物とは、ジエチルエーテル、二硫化炭素その他1気圧において、発火点が100℃以下のものまたは引火点が-20℃以下で沸点が40℃以下のものをいいます。

1気圧において
発火点100℃以下(二硫化炭素)
または
引火点‐20℃以下かつ沸点40℃以下

語呂:トークに初白衣か、今にオフよぉ
トークに :特殊引火物
初    :発火点
白衣か、 :100(℃)以下
い    :引火点
まにオ  :マイナス20(℃以下)
フ    :沸点
よぉ   :40(℃以下)

特殊引火物の具体的な品名

  • ジエチルエーテル
  • 二硫化炭素
  • アセトアルデヒド
  • 酸化プロピレン

語呂:特殊なジ・二流・アルフィーさんはプロっピ
ジ・二流・アルフィーはジ・アルフィーとかかっています。
インパクトの強い言葉の方が記憶に残りやすいので使っています。
もちろん、ジ・アルフィーは超一流のプロ、アーティストですよ。
特殊な     :特殊引火物
ジ       :ジエチルエーテル
二流      :二硫化炭素
アルフィー   :アセトアルデヒド
さんはプロっピ :酸化プロピレン

語呂(ミニマム):特殊なジ・二流

第1石油類

第一石油類とは、アセトン、ガソリンその他1気圧において引火点が21℃未満のものをいいます。

1気圧において
引火点21℃未満

語呂:伊勢行くか新見
伊勢  :第1石油類(いち―せきゆ)
行くか :引火点
にい  :21(℃)
み   :未満

第1石油類、第2石油類及び第3石油類については、非水溶性のものと水溶性のものを分けて覚えておく必要があります。

第1石油類の具体的な品名

  • <非水溶性>
    • ガソリン
    • ベンゼン
    • トルエン
    • 酢酸エチル
    • エチルメチルケトン
  • <水溶性>
    • アセトン
    • ピリジン

語呂:1番をガリ勉が取る作戦H、ミスって汗がピリ
1番を  :第1石油類
ガリ   :ガソリン
勉が   :ベンゼン
取る   :トルエン
作戦H  :酢酸エチル(エチルメチルケトン)
ミスって :(ここから水溶性)
汗が   :アセトン
ピリ   :ピリジン

語呂(ミニマム):1番をガリ勉が取る!ミスって汗

アルコール類

アルコール類とは、一分子を構成する炭素の原子の数が1個から3個までの飽和一価アルコールをいいます(ただし含有量60%以上のもの)。

炭素数3までの飽和1価アルコール
含有量60%以上

語呂:ある子の単位加算がムーミンの
ある子の :アルコール類
単    :炭素
位    :1
か    :から
さん   :3
が    :含有量
ムー   :60%
ミン   :未満
の    :除く

アルコール類の具体的な品名

  • メタノール
  • エタノール
  • 1-プロパノール(n-プロピルアルコール)
  • 2-プロパノール(イソプロピルアルコール)

語呂:メープルアルコール
メ     :メタノール
ー(え)  :エタノール
プル    :プロパノール
アルコール :アルコール類

まずはメタノールとエタノールを覚えて、あとからプロパノールを覚えれば大丈夫です。

第2石油類

第2石油類とは、灯油、軽油その他1気圧において引火点が21℃以上70℃未満のものをいいます。

1気圧で
引火点21℃以上70℃未満

語呂:偽の印が不一致の直美
偽の   :第2石油類(に―せきゆ)
印が   :引火点
ふいっちの:21(℃以上)
なお   :70(℃)
み    :未満

第2石油類の具体的な品名

  • <非水溶性>
    • 灯油
    • 軽油
    • キシレン
    • クロロベンゼン
    • スチレン
  • <水溶性>
    • 酢酸(氷酢酸)
    • プロピオン酸
    • アクリル酸

語呂:2番手は継投で岸、黒部がスチール!ミスった作戦プロアクティブ
2番手は  :第2石油類
継     :軽油
投で    :灯油
岸     :キシレン
黒部が   :クロロベンゼン
スチール  :スチレン
ミスった  :(ここから水溶性)
作戦    :(氷)酢酸
プロ    :プロピオン酸
アクティブ :アクリル酸

語呂(ミニマム):二番手は継投で岸、ミスった作戦

第3石油類

第3石油類とは、重油、クレオソート油その他1気圧において引火点が70℃以上200℃未満のも
のをいいます。

1気圧で
引火点70℃以上200℃未満

語呂:見せろ稲尾に近江
見せろ  :第3石油類(3-せきゆ)
い    :引火点
なお   :70(℃以上)
におう  :200(℃)
み    :未満

第3石油類の具体的な品名

  • <非水溶性>
    • 重油
    • クレオソート油
    • アニリン
    • ニトロベンゼン
  • <水溶性>
    • エチレングリコール
    • グリセリン

語呂:三重苦のレオ、兄にトロ、ミスにぐりぐり
三    :第3石油類
重    :重油
苦のレオ :クレオソート油
兄    :アニリン
にトロ  :ニトロベンゼン
ミスに  :(ここから水溶性)
グリ   :エチレングリコール
グリ   :グリセリン

語呂(ミニマム):三重苦のレオ、ミスにぐりぐり

第4石油類

第4石油類とは、ギヤー油、シリンダー油その他1気圧において引火点が200℃以上250℃未満
のものをいいます。

1気圧で
引火点200℃以上250℃未満
常温(20℃)で液状

語呂:寄席の駅員から匂う煮込み
寄席の :第4石油類(よん―せきゆ)
駅   :液状
員から :引火点
匂う  :200(℃以上)
煮込  :250(℃)
み   :未満

第4石油類の品名

  • 潤滑油
  • ギア油
  • シリンダー油
  • 可塑剤

語呂:4巡目はぎっしり過疎
4   :第4石油類
巡目は :潤滑油
ぎっ  :ギア油
しり  :シリンダー油
過疎  :可塑剤

第4石油類の具体的な品名については、無理して覚えなくても何とかなります。
燃料に使わない工業用の石油類とイメージできれば大丈夫です。

動植物油類

動植物油類とは、動物の脂肉等または植物の種子もしくは果肉から抽出したものであって、1気圧において引火点が250℃未満のものをいいます。

1気圧で
動植物由来
引火点250℃未満

語呂:どうしよう煮込み
どうしよう :動植物油類、動植物由来
煮込    :250(℃)
み     :未満

動植物油脂類の具体的な品名

  • 乾性油
    • アマニ油
    • キリ油
  • 食用油

語呂:同感、秋の食欲
同  :動植物油類
感  :乾性油
あ  :アマニ油
きの :キリ油
食欲 :食用油

乾性油としてアマニ油だけは覚えておいてく

危険物第4類の指定数量と倍数計算

類別品名性質指定数量(単位:l)
第4類特殊引火物50
第1石油類非水溶液体200
水溶性液体400
アルコール類400
第2石油類非水溶液体1000
水溶性液体2000
第3石油類非水溶液体2000
水溶性液体4000
第4石油類6000
動植物油類10000

指定数量の語呂合わせ

語呂:とく子の意地悪あるよー、偽みつをの白い土間

とく   :特殊引火物
子の   :50(L)
意    :第1石油類
地悪   :200(L)
ある   :アルコール類
よー、  :400(L)
に    :第2石油類
せ    :1,000(L)
み    :第3石油類
つをの  :2,000(L)
し    :第4石油類
ろい   :6,000(L)
ど    :動植物油類
ま    :10,000(L)

試験では問題用紙に表を再現

試験がはじまったら、できるだけ早い時間に指定数量の表を問題用紙の余白に書いてしまいましょう。
数字一つ忘れてもいけないものですから、忘れないうちに再現しておくのです。

そうすることで、指定数量の倍数の問題での計算ミスや参照ミスを防ぐことができます。

指定数量の倍数

指定数量の倍数は、実際に貯蔵し、または取扱う危険物の数量をその危険物の指定数量で割って得た値です。
貯蔵または取扱う危険物が指定数量の何倍かを表します。

指定数量の倍数の計算

指定数量の倍数=(A貯蔵量/A指定数量)+(B貯蔵量/B指定数量)+(C貯蔵量/C指定数量)+…

危険物取扱者試験の再頻出項目です。
指定数量の倍数の計算については、確実に正解できるようにしておく必要があります。

製造所等(数字対応式暗記法)

数字と製造所等を対応させて暗記します。

〇製造所(1種類)
 ①製造所         :製造所等の代表は製造所だから①
〇貯蔵所(7種類)
 ②屋内貯蔵所       :屋内貯蔵所は製造所のそばにありそうだから②
 (タンク貯蔵所(5種類))
  ③屋外タンク貯蔵所   :磨いた(③外タ)
  ④屋内タンク貯蔵所   :米内たん(④内タン)(③と④だけで語呂合わせ)
  ⑤地下タンク貯蔵所   :ちかたんく(5文字)
  ⑥簡易タンク貯蔵所   :かんいたんく(6文字)
  ⑦移動タンク貯蔵所   :タンクローリー(7文字)
 ⑧屋外貯蔵所       :屋外は野外(8外、やがい)
〇取扱所(4種類)
 ⑨給油取扱所       :給油(9油、きゅうゆ)
 ⑩販売取扱所       :店舗(10ぽ、てんぽ)
 ⑪移送取扱所       :パイプラインだからパイプがいっぱいで11
 ⑫一般取扱所       :「その他」だから最後の12

製造所等の設置・変更の許可

製造所等の設置・変更にあたっては、市町村長等の許可が必要になります。

許可が必要な事項:位置、構造、及び設備に関する事項

製造所等の設置・変更の申請先

製造所等(⑪移送取扱所以外)
・消防本部・消防署を設置している市町村の区域→市町村長
・消防本部・消防署を設置しいない市町村の区域→都道府県知事

⑪移送取扱所
・消防本部・消防署を設置している一市町村→市町村長
・消防本部・消防署を設置していない市町村または二以上の市町村にまたがる区域→都道府県知事
・二以上の都道府県にまたがる区域→総務大臣

原則は市町村長、手におえなければ一つ上の行政機関に

製造所等の設置・変更の申請者

所有者等=所有者、管理者または占有者

製造所等の設置・変更の許可申請手続

申請者(=所有者等)     申請先(=市町村長等)

許可申請        →  申請受付
               ↓
(受領)        ←  許可書交付
工事着工

│→(液体危険タンク)
│ 完成検査前検査申請 →  申請受付
│              ↓
│              完成検査前検査
│              ↓
│←(受領)      ← (完成検査前検査)検査済証交付

工事完成

完成検査申請      →  申請受付
               ↓
               完成検査
               ↓
(受領)        ←  検査済証交付
使用開始

  • 許可後(許可書受領後)でなければ工事着工できない
  • 液体危険タンクには完成検査前検査が必要
  • 完成検査に合格(検査済証を受領)しなければ使用開始できない

完成検査前検査

工事完了後に検査できない部分について検査

完成検査前検査に合格してからでなければ、完成検査に合格できません。

完成検査前検査の対象

液体危険物タンクが対象

(1)(指定数量以上の)①製造所(⑫一般取扱所)の液体危険物タンク

(2)タンク貯蔵所の液体危険タンク

③屋外タンク貯蔵所
④屋内タンク貯蔵所
⑤地下タンク貯蔵所
⑥簡易タンク貯蔵所
⑦移動タンク貯蔵所

(3)⑨給油取扱所の液体危険タンク

語呂:移住に旧タンクの完成検査前検査が必要

移   :①製造所
住に  :⑫一般取扱所
旧   :⑨給油取扱所
タンクの:タンク貯蔵所(③~⑦)
完成検査前検査が必要

仮使用承認

製造所等の位置、構造または設備を変更する場合において、変更工事にかかる部分以外の部分について、市町村長等の承認を受けて仮に使用できます。

→変更工事中であっても変更しない部分を継続使用できる
→一部変更であっても、変更しない部分について市町村長等の仮使用承認が必要

製造所等の設置・変更の許可の一部ですが、近年では出題頻度が高くなっています。
要注意分野です。

危険物取扱者の免状

免状の交付・書換・再交付

手続  申請事由        申請先都道府県知事   添付資料

交付  試験に合格       試験実施地       合格証書

書換  氏名・本籍地の変更   免状交付した知事    戸籍謄本等
    写真が10年経過     免状交付した知事    6カ月以内撮影写真
                または居住地・勤務地の知事

再交付 亡失・滅失       交付・書換した知事   ※
    汚損・破損       交付・書換した知事   汚損・破損した免状

※(発見したとき)旧免状を再交付した都道府県知事に10日以内に提出

免状の記載事項

免状の記載事項は政令及び規則で定められています。

  • 氏名
  • 生年月日
  • 本籍地の都道府県
  • 免状交付日・交付番号
  • 交付・書換した都道府県知事
  • 取得した免状の種類(甲種、乙種各類、丙種)
  • 免状番号
  • 過去10年以内に撮影した写真

本籍地の都道府県は記載事項ですが、本籍地の市町村や居住地・勤務地は記載事項ではありません。

語呂:なぜほんとのコーチは終盤写真?

な    :名前(氏名)
ぜ    :生(年月日)
ほんとの :本(籍地の)都(道府県)
こー   :交付日・交付番号
ちは   :(都道府県)知事
しゅう  :(取得した免状の)種類
ばん   :(免状)番号
しゃしん :(過去10年以内に撮影した)写真

免状の返納命令

免状の返納命令

都道府県知事は、消防法・消防法に基づく命令に違反した危険物取扱者に免状の返納を命ずることができます。

〇都道府県知事
×市町村長

免状の不交付

一部のものは一定期間、免状の交付が受けられません。

  • 返納を命じられ、その日から1年を経過しない者
  • 消防法等に違反し罰金以上の刑を受けて2年を経過しない者

語呂:不幸!一ぺんでバツ2

不幸   :不交付
一ぺんで :1年、返納命令
バツ2  :罰金、2年

保安講習

危険物取扱作業に従事する危険物取扱者に受講義務
全国どの都道府県でも受講可
(原則)3年に1回
(例外)新規従事者、直近2年以内の免状交付・講習受講

保安講習の受講義務

危険物取扱作業に従事する危険物取扱者が受講しなければならない講習です。
危険物取扱業務に従事していない危険物取扱者や危険物取扱者でない者には受講義務はありません。

危険物取扱者ではない危険物保安統括管理者と危険物施設保安員→受講義務なし
危険物保安監督者→受講義務あり(∵危険物保安監督者=甲種または乙種危険物取扱者)

どの都道府県でも受講可能

保安講習は、全国どの都道府県でも受講することができます。

保安講習の受講期限

  • 原則3年以内に1回※
  • 例外1:新規従事者は、従事開始日から1年以内に受講
  • 例外2:新規従事かつ免状交付・講習受講から2年以内は、3年以内に受講※
  • 例外2は、例外の例外なので原則と同じ

※正確には、免状の交付日・講習の受講日以降における最初の4月1日から3年以内

語呂:講習ミギー、新一の新高校に惨劇

講習   :保安講習
ミギ   :3年
―(い) :1回
新    :新規従事者は(例外1)
一は   :(従事開始日から)1年以内
新高校に :新規従事かつ(免状)交付・講習(受講)から2年以内(例外2)
惨    :3年以内
劇    :原則と同じ

危険物保安監督者

危険物保安監督者は、製造所等で危険物の保安の監督業務を行う(課長、現場責任者のイメージ)

所有者等が選任・解任

所有者等が選任・解任し、市町村長等に遅滞なく届出

対象資格等

甲種または乙種危険物取扱者+6か月以上の実務経験
(乙種は指定された類のみ)

実務経験
・製造所等のみ
・免状交付の前後を問わない
・複数の製造所等の実務経験を通算できる

危険物保安監督者の設置義務のある製造所等

すべて設置義務がある製造所等

①製造所
③屋外タンク貯蔵所
⑨給油取扱所
⑪移送取扱所

すべて設置不要の製造所等

⑦移動タンク貯蔵所
移動タンク貯蔵所には危険物取扱者が乗車しなければならないので、危険物保安監督者の監督はなくても大丈夫です。

指定数量の倍数が30を超える場合に設置義務がある製造所等

⑧屋外タンク貯蔵所

危険物保安監督者の設置義務の語呂合わせ

語呂:瞳のポルシェ用のナンバーは不要

ひと    :①
みの    :③
ポルシェ  :⑨⑪(ポルシェ911から)
用の    :必要
ナンバーは :⑦
不要    :不要

語呂:ハミチ〇監督

ハ   :⑧屋外貯蔵所
ミ   :30
チ〇  :超
監督  :危険物保安監督者の設置が必要

予防規程

予防規程は、火災予防のための自主保安に関する定めです。
所有者等・従業員は予防規程を守る義務があります。

自主保安に関する定め

予防規程は自主保安に関する定めなので、設備等を熟知している所有者等が定めることになっています。

市町村長等の認可

所有者等が定めた予防規程は、市町村長等の認可を受ける必要があります。

この認可を受けないと、罰則が科されることがあります。

予防規程未認可の罰則:6月以下の懲役または50万円以下の罰金
(→使用停止命令等にはならない)

また、予防規程に変更の必要があるときは、市町村長等は予防規程の変更を命ずることができます。

予防規程を定める義務のある製造所等

①製造所      10以上
②屋内貯蔵所    150以上
③屋外タンク貯蔵所 200以上
⑧屋外貯蔵所    100以上
⑫一般取扱所    10以上

⑨給油取扱所 すべて
⑪移送取扱所 すべて

語呂:よっ!防大ポルシェ

よっ!防  :予防規程
大     :大規模グループ
ポルシェ  :⑨⑪(ポルシェといえば911です)

大規模グループとは

暗記用で、①、②、③、⑧、⑫をひとまとめにして覚えるものです。
もちろんですが、公式な用語ではありません。
大規模グループを「大」の一文字にまとめることで語呂合わせが簡単になります。

語呂:大泉が野獣に!逃避行に100点

おお   :大規模グループ
い    :①   とう   :10以上
ず    :②   ひこう  :150以上
みが   :③   に    :200以上
や    :⑧   100    :100以上
じゅうに :⑫   点    :10以上

予防規程に定めるべき事項

火災予防のための自主保安に関する定めなので、予防規程に定めるのは予防に関する事項です。
したがって、営業や事後処理に関することは対象外です。

常識で判断できるような問題しか出されませんが、心配な方は、危険物の規制に関する規則第60条の2を一読しておけばいいと思います。

定期点検

定期点検は、所有者等の義務として、製造所等の位置、構造及び設備が技術上の基準に適合しているかを点検するものです。

定期点検の実施者

定期点検の実施者は次のとおりです。

  • 危険物取扱者(甲種・乙種・丙種)
  • 危険物施設保安員
  • 危険物取扱者(甲種・乙種・丙種)の立会

立会については取扱作業との違いに注意が必要です。
取扱作業の立会ができるのは、甲種及び乙種危険物取扱者です。
「丙種危険物取扱者の立会で定期点検を行った」ことの適否などは問われやすくなっています。

地下貯蔵タンク、地下埋設配管、移動貯蔵タンク等の漏れの点検や固定式の泡消火設備に関する点検については、専門の知識及び技能を有するもの出ないとできないことになっています。

もっとも、漏れの点検や泡消火設備の点検については、問題文で対象から除外されていることがほとんどです。

定期点検対象施設

          倍数等
①製造所      10以上(・)または地下タンクを有する
②屋内貯蔵所    150以上
③屋外タンク貯蔵所 200以上
⑧屋外貯蔵所    100以上
⑫一般取扱所    10以上(・)または地下タンクを有する

⑨給油取扱所     (・)地下タンクを有する
⑪移送取扱所    すべて

⑤地下タンク貯蔵所 すべて
⑦移動タンク貯蔵所 すべて

定期点検対象施設

=予防規程対象施設+⑤、⑦
=大規模グループ+どんどん供給+複雑なタンク

①製造所、⑨給油取扱所及び⑫一般取扱所については地下タンクを有するもの

語呂:帝大はポルシェコーナー

帝    :定期点検
大は   :大規模グループ
ポルシェ :⑨⑪
コーナー :⑤⑦

語呂:ちかタンと行く湯治
ちかタンと:地下タンクを有するもの
行    :①製造所
く    :⑨給油取扱所
湯治   :⑫一般取扱所

定期点検が不要な施設

④屋内タンク貯蔵所
⑥簡易タンク貯蔵所
⑩販売取扱所

→数量制限があるもの

試験では、定期点検が不要な施設を覚えているだけで正解できる問題も少なくありません。

語呂:素人は点検不要
し    :④
ろう   :⑥
とは   :⑩
点検不要 :定期点検不要

定期点検の実施

・1年に1回以上
・届出義務なし(資料の提出を求められることはあり)

漏れの点検

地下貯蔵タンク・地下埋設配管
・許可日または前回の漏れの点検日から1年を経過する日の属する月の末日までの間に1回以上
(→1年に1回以上)

移動貯蔵タンク(⑦移動タンク貯蔵所)
・許可日または前回の漏れの点検日から5年を経過する日の属する月の末日までの間に1回以上
(→5年に1回以上)

点検記録

・3年保存(⑦移動タンク貯蔵所は10年保存)

点検記録の記載事項

・製造所等の名称
・点検方法と結果
・点検年月日
・実施者等氏名

語呂:点検記録は生ホッケ雛

点検記録は :点検記録の記載事項
生     :名前(名称)
ホッケ   :方法と結果
ひ     :(点検年月)日
な     :(実施者等の)氏名

保安距離

保安距離は、災害発生時の延焼防止及び避難等のため、保安対象物から対象となる製造所等までの間に取らなければならない一定の距離のことです。

保安対象物と保安距離

製造所等は、次の建築物等から保安距離を保たなくてはなりません。

  • 特別高圧架空電線
    •  7,000V超35,000V以下※1  3m
    •  35,000V超          5m
  • 製造所等の敷地外にある住宅  10m
  • 高圧ガス・液化石油ガスの施設 20m
  • 学校等※2・病院・劇場等   30m
  • 重要文化財等の建築物※3   50m

※1高架電線であっても電圧が7,000V未満であれば対象外
→6,600Vの高圧電線が出題されやすい

※2幼稚園から高校まで+社会福祉施設
=(未成年+高齢者)が集まる施設
=(災害時に弱者となりうる人)が集まる施設

※3容易に移動させられないもの
重要文化財等でも持ち運びができるものは対象外
→文化財を保管している倉庫は対象外

対象となる製造所等

大規模グループが対象となります。
ただし、倍数は関係ありません。

①製造所
②屋内貯蔵所
③屋外タンク貯蔵所
⑧屋外貯蔵所
⑫一般取扱所

なお、多用途ビルの一部にある②屋内貯蔵所については対象外です。

対象となる製造所等の語呂合わせ

語呂合わせでは、倍数は関係ない、そのままの製造所等、の意味で「生」をつけることにします。
その結果、大規模グループで倍数が関係ない製造所等を表すものとして「大生」を使います。

対象とならない製造所等

⑦移動タンク貯蔵所、⑨給油取扱所及び⑩販売取扱所は対象になりません。

問題によっては、対象とならない製造所等を覚えておくだけで得点できることがあります。

保安距離についての覚え方

対象とならない製造所等

語呂:保安官は泣くとなれない

保安官は:保安距離
泣   :⑦移動タンク貯蔵所
く   :⑨給油取扱所
と   :⑩販売取扱所
なれない:対象とならない

対象となる製造所等・保安対象物と保安距離

語呂:京大生で、ナミ子さんGo!住宅から逃がす三月病のゴジュラ

京    :保安距離
大    :大規模グループ
生    :倍数関係なし
で    :(特別高圧架空)電線
ナ    :7,000V以上(35,000V未満)
ミ子   :35,000V以上
さん   :3m
Go!   :5m
住宅から :住宅・10m

運搬の基準

運搬とは

運搬は、容器に入れて危険物を自動車で運ぶこと

⇔移送:移動タンク貯蔵所により危険物を運ぶこと

運搬に関する技術上の基準

運搬に関する技術上の基準は、指定数量未満の危険物にも適用されます。

運搬に関する技術上の基準は、次の3つに関するものに大別されます。

  • 運搬容器
  • 積載方法
  • 運搬方法

語呂:運搬は容積の運
運搬は :
容   :(運搬)容器の基準
積の  :積載方法の基準  
運   :運搬方法の基準

運搬容器の基準

運搬容器については、材質、構造、最大容積について基準が定められています。

語呂:運搬容器は在庫を採用

運搬容器は:運搬容器
在    :材質
庫を   :構造
採用   :最大容量

運搬容器の性能

運搬容器の性能は、一定の基準に適合する性能を有するものであること

危険等級に応じて適合する容器が定められています

危険等級

危険物は、危険性の程度に応じて危険等級Ⅰ・Ⅱ・Ⅲに区分されます。

危険物第4類 危険等級Ⅰ

特殊引火物

危険物第4類 危険等級Ⅱ

第1石油類及びアルコール類

危険物第4類 危険等級Ⅲ

危険物第4類のうち、危険等級Ⅰ、Ⅱ以外(第2石油類、第3石油類、第4石油類及び動植物油類)

語呂:一徳と日本一歩こう

一   :危険等級Ⅰ
徳と  :特殊引火物
日本  :危険等級Ⅱ
一   :第1石油類
歩こう :アルコール類

積載方法

収納方法

原則:基準に適合する容器に収納
例外:塊状の硫黄

原則:密封容器に収納
  • 原則:密封して収納
  • 例外:ガス抜き口を設けた運搬容器に収納
  • 例外の例外:発生するガスが毒性または引火性を有するとき→密封して収納(原則どおり)

危険物の性質に適応した材料

危険物の性質に適応した材質の運搬容器に収納

類を異にする危険物の収納禁止

一つの外装容器には、原則として類を異にする危険物を収納してはならない

運搬容器の表示事項

運搬容器には次の事項を表示する

・危険物の品名
・危険等級
・化学名
・第4類の危険物のうち水溶性のものは「水溶性」
・危険物の数量
・収納する危険物に応じた注意事項

語呂:陽気なヒトカゲは水量に注意

陽気な  :容器表示
ヒ    :品名
ト    :(危険)等級
カゲは  :化学名
水    :水溶性
量に   :数量
注意   :注意事項

混載

同一車両で類を異にする危険物を運搬するときの混載は次のとおり

  1 2 3 4 5 6
1 ―         〇
2   ―   〇 〇
3     ― 〇
4   〇 〇 ― 〇
5   〇   〇 ―
6 〇         ―
(〇:混載可)

混載の可否の考え方1(対応表で覚える)

  • 第4類は第1類と第6類以外
  • 対角線

混載の可否の考え方2(数字で覚える)

・足して7
・第2類と第4類
・第4類と第5類

語呂:根菜の人参が仕事だな
根菜の :混載
人参が :第2類と第4類
仕事  :第4類と第5類
だな  :足して7

運搬方法

品名または指定数量を異にする2以上の危険物を運搬する場合、次式で指定数量の倍数を計算します。

指定数量の倍数=(Aの運搬量/Aの指定数量)+(Bの運搬量/Bの指定数量)+…
(←指定数量の倍数の計算と同じ考え方)

指定数量の倍数が1以上なら、指定数量以上を運搬しているものとみなします。

消火設備

消火設備は第1種から第5種までに区分されます。

第1種

  • 屋内消火栓設備
  • 屋外消火栓設備

第2種

スプリンクラー設備

第3種

  • 水蒸気消火設備
  • 水噴霧消火設備
  • 泡消火設備
  • 不活性ガス消火設備
  • ハロゲン消化物設備
  • 粉末消火設備

第4種

大型消火器

第5種

  • 小型消火器
  • 乾燥砂
  • 膨張ひる石
  • 膨張真珠岩
  • 水バケツ
  • 水槽

第1~3種:電気等の動力が必要
第4、5種:容器内の圧力や人力等で作動

なお、エアゾール式簡易消火具は消火設備に含まれません。

消火設備のキーワード

第1種―消火栓
第2種―スプリンクラー
第3種―消火設備
第4種―大型
第5種―小型

語呂:仙一の偽スープラ、見せよ大御所
仙    :(消火)栓
一の   :第1種
偽    :第2種
スープラ :スプリンクラー
見    :第3種
せ    :設備
よ    :第4種
大    :大型
御    :第5種
所    :小型

消火設備の設置基準の例外

第5種消火設備のみの設置で足りる製造所等

⑤地下タンク貯蔵所

第5種消火設備を2個以上

⑦移動タンク貯蔵所

自動車用消火器で次のいずれかを2個以上
・霧状の強化液
・不活性ガス
・消火粉末(充填量3.5kg以上)
ただしアルキルアルミニウムに関するものを除く

消火設備の設置が不要な製造所等

⑥簡易タンク貯蔵所

不要

⑩販売取扱所

不要

消火設備の設置基準の例外の語呂合わせ

語呂:好みの小説?高校に何しに?ろくでなし
好みの  :5種のみ
小説   :消防設備
高    :⑤地下タンク貯蔵所
校に   :第5種消火設備を2個以上
何    :⑦移動タンク貯蔵所
しに   :自動車用消火器2個以上
ろく   :⑥簡易タンク貯蔵所
で    :⑩販売取扱所(←テン)
なし   :不要

措置命令

市町村長等は、製造所等の所有者等に対し、以下の措置を命ずることができます。
→市町村等の許可・届出・認可に関するものについて、製造所等の所有者等に命令することができます。

危険物の貯蔵・取扱基準遵守命令

貯蔵・取扱の技術上の基準違反

危険物施設の基準適合命令(修理、改造または移転の命令)

位置、構造及び設備の技術上の基準違反

危険物保安統括管理者または危険物保安監督者の解任命令

危険物保安統括管理者または危険物保安監督者
消防法等に違反
または
業務を行わせることが公共の安全もしくは災害の発生の防止に支障を及ぼすおそれがあると認めるとき

予防規程変更命令

火災予防のため必要があるとき

危険物施設の応急措置命令

応急の措置を講じていないとき

その他

緊急使用停止命令

市町村長等は、公共の安全の維持または災害の発生の防止のため緊急の必要があると認めるときは、製造所等の所有者等に対し、施設の使用を一時停止すべきことを命じ、またはその使用を制限することができる

許可の取消・使用停止命令

許可の取消または使用停止命令

市町村長等は、製造所等の所有者等が次のいずれかに該当するときは、その製造所等について設置許可の取り消しまたは期間を定めて施設の使用停止を命ずることができます。

「許可の取消または使用停止命令」は、位置、構造及び設備の技術上の基準、ハード面の違反に対するものといわれます。

すでに構造や設備のどこかが故障等しているおそれがあり、命令してもすぐには直せないであろう状態で出されるのが「許可の取消または使用停止命令」です。

無許可変更

位置、構造または設備を無許可で変更

完成検査前使用

完成検査済証交付前に使用または仮使用の承認を受けないで使用

措置命令違反

位置、構造及び設備にかかる措置命令(修理、改造または移転命令)違反

保安検査未実施

③屋外タンク貯蔵所、⑪移送取扱所の保安検査を受けない

定期点検未実施等

定期点検の実施、記録作成および保存がされていない

許可の取消または使用停止命令の語呂合わせ

語呂:取消しよって!農協へかけそうめんの布袋

取消    :(許可の)取消
しよって! :使用停止命令
農協へ   :無許可変更(No-許うへ(んこう))
かけ    :完成検査前使用
そうめんの :措置命令違反
ほ     :保安検査未実施等
てい    :定期点検未実施等

使用停止命令

市町村長等は、製造所等の所有者等が次のいずれかに該当するときは、その製造所等について期間を定めて施設の使用停止を命ずることができます。

「使用停止命令」は、ソフト面の違反に対するものといわれます。

位置、構造及び設備については技術上の基準を満たしているものの、貯蔵・取扱や管理体制に重大な問題があると考えられる状態で出されるのが「使用停止命令」です。

貯蔵・取扱基準遵守命令違反

危険物の貯蔵・取扱基準の遵守命令に違反したとき

未選任等

危険物保安統括管理者または危険物保安監督者について

選任しないとき
または
その者に業務をさせていないとき

解任命令違反

危険物保安統括管理者または危険物保安監督者について

解任命令違反
または
業務を行わせることが、公共の安全の維持もしくは災害の発生の防止に支障を及ぼすおそれがあると認めたとき

使用停止命令の語呂合わせ

語呂:指定貯金見せんかい
指定   :使用停止命令
貯金   :貯蔵・取扱基準遵守命令違反
見せん  :未選任等
かい   :解任命令違反

「許可の取消または使用停止命令」と「使用停止命令」の区別

「許可の取消または使用停止命令」の対象となるのは、位置、構造及び設備の技術上の基準の違反がある場合です。

位置、構造及び設備の技術上の基準に違反がなければ「使用停止命令」にとどまります。

試験対策上、「許可の取消または使用停止命令」になるのか、「使用停止命令」にとどまるのかを区別できれば、一つひとつの条件を丸暗記する必要はありません。
ただし、その場合は次の許可の取消または使用停止命令の対象とならないものとの区別もできるようにしておく必要があります。

使用停止命令の対象とならないもの

使用停止命令の対象とならない主なものは、次のとおりです。

  • 届出義務違反
  • 予防規程関係
  • 危険物施設保安員関係
  • 危険物取扱者以外の危険物の取扱(危険物取扱者の立会なしの取扱作業)

使用停止命令の対象とならないのは、直ちに事故につながるおそれの少ない、相対的に軽微な違反です。

ただし、これらの違反に対しては罰金や拘留が科されることがあります。

語呂:支店がない東洋紡インダストリー
(工業系の架空の中小企業です)
支店が  :使用停止命令
ない   :(対象となら)ない
東    :届出義務違反
洋紡   :予防規程関係
インダス :(危険物施設保安)員
トリー  :(危険物)取扱

危険物取扱者免状の返納命令

危険物取扱者が消防法の規定に違反しているとき(保安講習の未受講等)、危険物取扱者免状を交付した都道府県知事は、危険物取扱者に対し免状の返納を命ずることができます。

危険物取扱者免状の返納命令は都道府県知事の権限で、市町村長はできません。