有機化合物・高分子化合物の覚え方

有機化合物の構成元素
ちょんくろスペシャル

炭化水素の分類
タンスにある掛け金

アルコールの酸化
あるさイーアル、あるでカールにケトルさんな

エタノールの酸化
枝野は焦ると策さ

エステルとエーテル
エステはあるか?ええ手があるあるだす

高分子化合物
子分のブーマー、多重事故。カフカのポリスは猫シューズ

有機化合物とは

有機化合物は、分子中に炭素(C)を含む、炭素が原子結合の中心となっている化合物の総称です。
有機化合物以外は無機化合物です。

なお、炭素を含んでいても、炭素の酸化物や硫化物、炭酸塩やシアン化合物等は有機化合物には含めません(CO2、CS2、Na2CO3、NaCN等は有機化合物ではありません)。

  • 構成元素の種類は少ない(炭素(C)、水素(H)、酸素(O)、窒素(N)のほか、塩素(Cl)、硫黄(S)、リン(P)等)
  • 有機化合物の種類は多い

語呂:ちょんくろスペシャル
ちょん   :CHON(炭素(C)、水素(H)、酸素(O)、窒素(N))
くろ    :塩素(Cl:chlorine:クローリーン)
スペシャル :硫黄(S)、リン(P)

有機化合物と無機化合物の比較

有機化合物と無機化合物の一般的な傾向は次のとおりです。

         有機化合物    無機化合物
構成元素の種類  少ない      多い
化合物の種類   多い       少ない
分子量      大きい      小さい
融点、沸点    低い       高い
水溶性      溶けにくい    溶けやすい
燃焼       可燃性      不燃性
反応性      遅い       早い
         完全に進行しない 完全に進行する
化学結合     共有結合     イオン結合

有機化合物の代表例を食用油、無機化合物の代表例を食塩として考えるとわかりやすくなります。

炭化水素

炭化水素は、炭素(C)と水素(H)からなる化合物です。

ガソリン、灯油、軽油等は、色々な炭化水素の混合物です。

炭化水素の燃焼

炭化水素は、完全燃焼すると、二酸化炭素(CO2)と水(H2O)を生成します。

炭化水素の分類

  • 鎖式炭化水素(脂肪族炭化水素)
    • 飽和炭化水素(アルカン)
    • 不飽和炭化水素(アルケン、アルキン)
  • 環式炭化水素
    •  脂環式炭化水素
      •   飽和炭化水素(シクロアルカン)
      •   不飽和炭化水素(シクロアルケン)
    • 芳香族炭化水素

アルカン

単結合からなる鎖式飽和炭化水素

ex.エタン(CH3-CH3

アルケン

二重結合を1つ含む鎖式不飽和炭化水素

ex.エチレン(CH2=CH2

アルキン

三重結合を1つ含む鎖式不飽和炭化水素

ex.アセチレン(CH≡CH)

語呂:タンスにある掛け金
タンスに  :炭化水素
アル
か     :アル「カ」ン
け     :アル「ケ」ン
き     :アル「キ」ン

アルコール

アルコールは、鎖式炭化水素の水素原子をヒドロキシ基(‐OH)で置換した化合物です。

ex.メタノール(CH3-OH)、エタノール(C2H5-OH)等

水溶性

炭素数の少ない(1~3)アルコールは水溶性です。
(炭素数4のブタノールは少量水に溶けますが、炭素数5以上のアルコールは水に溶けにくくなります。)

アルコールの酸化

アルコールは、ヒドロキシ基(‐OH)が結合している炭素原子に結合している炭素原子の個数によって第1級アルコール、第2級アルコール、第3級アルコールに分類されます。

危険物取扱者試験では、アルコールの酸化が比較的出されやすい分野です。
少なくとも結論だけは覚えておく必要があります。

第1級アルコールの酸化

第1級アルコールは、ヒドロキシ基(‐OH)が結合している炭素原子に結合している炭素原子が1つのアルコールです。

第1級アルコールが酸化すると、アルデヒドを経由してカルボン酸になります。

アルコール―(酸化)→アルデヒド―(酸化)→カルボン酸

ex.
メタノール→ホルムアルデヒド→ギ酸
エタノール→アセトアルデヒド→酢酸

  H          H         OH
  │         │        │
R-C-OH  →  R-C=O  →  R-C=O
  │    酸化       酸化
  H
第1級アルコール  アルデヒド    カルボン酸

なお、メタノールについては、ヒドロキシ基が結合している炭素原子に結合している炭素原子はありませんが、通常第1級アルコールとして扱われます。

参考:二日酔い
酒のアルコール(エタノール)がアルコール脱水素酵素(ADH)にの働きで酸化されアセトアルデヒドになる
アセトアルデヒドは人体に有毒なので、頭痛や吐き気などの症状が起こる
これが二日酔い
アセトアルデヒドはアルデヒド脱水素酵素(ALDH)の働きで酸化され、人体に無害な酢酸になる

第2級アルコールの酸化

第2級アルコールは、ヒドロキシ基(‐OH)が結合している炭素原子に結合している炭素原子が2つのアルコールです。

第2級アルコールが酸化すると、ケトンになります。

第2級アルコール―(酸化)→ケトン

ex.
2-プロパノール→アセトン

  R1         R1
  │         │
H-C-OH  →   C=O
  │    酸化   │
  R2         R2
第2級アルコール  ケトン

第3級アルコールの酸化

第3級アルコールは、ヒドロキシ基(‐OH)が結合している炭素原子に結合している炭素原子が3つのアルコールです。

第3級アルコールは酸化されにくい物質です。

アルコールの酸化の語呂合わせ

語呂:あるさイーアル、あるでカールにケトルさんな
(イーアルさんに、カールとやかんがあることを伝えています)
あるさ  :アルコールの酸化
イー   :第1級
アル、  :アルコール
あるで  :アルデヒド
カール  :カルボン酸
に    :第2級アルコール
ケトル  :ケトン
さん   :第3級アルコール
な    :酸化なし

エタノールの酸化の語呂合わせ

エタノールの酸化は物質名が聞かれることもあります。

語呂:枝野は焦ると策さ
(枝野さんは焦ると策に頼るようです)
枝野は :エタノール
焦ると :アセトアルデヒド
策さ  :酢酸

カルボン酸

カルボン酸は、カルボキシル基(-COOH)を持つ有機酸の総称です。
カルボン酸は弱酸を示します。

ex.酢酸(CH3COOH)

エステル

エステルは、アルコールとカルボン酸の脱水反応により生成される化合物です。

危険物取扱者試験では、選択肢に挙げられた物質がエステルか否かが問われることがあります。

理解したうえで解答しようとすると、勉強に多くの時間がかかります
ただ、エステルはアルコールとカルボン酸が反応してできるものだということがわかっていれば正答できるものしか出ないので、慌てず対応しましょう。

エステル化

エステル化は、エステルを生成する反応で、アルコールとカルボン酸が脱水縮合する反応です。

エーテル

エーテルは、酸素原子に2個の炭化水素基が結合した分子構造の有機化合物の総称です。

アルコールに濃硫酸を加えて加熱すると、脱水反応が起こり、エーテルが得られます。

エーテルとエステルは名前が似ていますが別物です。
勘違いしないように整理して覚えておく必要があります。

エーテル:アルコール同士の脱水反応
エステル:アルコールとカルボン酸の脱水反応

語呂:エステはあるか?ええ手があるあるだす
エステは  :エステル
ある    :アルコール
か?    :カルボン酸
ええ手が  :エーテル
あるある  :アルコール同士
だす    :脱水反応

ジエチルエーテル

ジエチルエーテルは、エチル基とエチル基がエーテル結合した分子構造の有機化合物です。

C2H5-O-C2H5

ジエチルエーテルは、エタノールの分子間脱水により生成され、有機溶媒として広く使用されています。

ジエチルエーテルは、危険物第4類、特殊引火物の一つであり、危険物取扱者試験、特に乙4試験で出題の多い物質です。

高分子化合物

高分子化合物は、分子量の大きい化合物、特に分子量10,000以上のものの総称です。

単量体(モノマー、1種類の分子)が2個以上結合して、分子量の大きな分子である重合体(ポリマー)を生成します。
単量体から重合体を生成する反応が重合です。

付加重合と縮合重合

付加重合

付加重合は、付加反応を繰り返すことで高分子を生成する反応です。

付加反応は、不飽和結合を含む化合物で、二重結合や三重結合のうちの1つの結合が開いて、そこに他の原子または原子団が結びつく反応です。

付加重合による高分子材料

ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル等
(原材料に二重結合を含み、重合体の名称はポリ~となるものが多い)

縮合重合

縮合重合は、縮合反応を繰り返すことで高分子を生成する反応です。

縮合反応は、2個以上の有機化合物分子が,水,アルコールなどの簡単な分子の脱離を伴って,共有結合を形成する反応です。

縮合重合による高分子材料

エポキシ樹脂、フェノール樹脂、の要素樹脂、メラミン樹脂等

(熱可塑性樹脂になることが多い)

樹脂の熱特性

高分子化合物である樹脂(プラスチック)は、その熱に対する特性から熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂に分けられます。

熱可塑性樹脂

熱可塑性樹脂は、加熱すると軟化して変形させることができ、冷却すると硬化する樹脂です。

熱硬化性樹脂

熱硬化性樹脂は、加熱することで重合反応が進行して硬化し、軟化することのない樹脂です。

高分子化合物の試験対策

危険物取扱者試験での高分子化合物の出題頻度は高いものではありません。

その一方、理解した勉強をしようとすると、有機化学についての理解が必要になり、多くの時間を費やすことになります。

そこで試験対策としては、最小限の項目の暗記にとどめ、それを超えた出題があれば現場で足掻くやり方をおすすめします。

高分子化合物の暗記項目

  • 分子量10,000以上の化合物
  • 単量体(モノマー)が結合して重合体(ポリマー)
  • 熱可塑性樹脂-付加重合-ポリ~樹脂
  • 熱硬化性樹脂-縮合重合

語呂:子分のブーマー、多重事故。カフカのポリスは猫シューズ
(ブーマーが事故を起こし、現場検証に変わった靴のお巡りさんが来ました。ブーマーは三冠王でも芸人でも団塊の世代でも)
子分の  :高分子化合物
ブー   :分子量
マー、  :10,000以上
多    :単量体
重    :重合体
事故。
カ    :(熱)可塑性樹脂
フカの  :付加重合
ポリスは :ポリ~樹脂
猫    :熱硬化性樹脂(「ね」つ「こ」うか)
シューズ :縮合重合