危険物取扱者試験では、ある物質が単体、化合物、混合物のいずれであるかを答えさせる問題が出されます。
簡単なものがほとんどなので、確実に得点できるようにしたいところです。
単体・化合物・混合物の区別
水曜日の母さん騒動記
純物質と混合物・単体と化合物
物質は純物質と混合物に分けられれます。
さらに、純物質は単体と化合物に分けられます。
- 純物質
- 単体
- 化合物
- 混合物
純物質
純物質は、化学的に単一の物質からなるものです。
純物質は、単体と化合物に分けられます。
単体
単体は、1種類の元素からなる純物質です。
単体の例
水素(H2)、酸素(O2)、ナトリウム(Na)、硫黄(S)等
化合物
化合物は、化合によってできた、2種類以上の元素からなる純物質です。
化合は、2種類以上の物質が化学的に結合して別の物質を生じることです。
化合物の例
水(H2O)、二酸化炭素(CO2)、塩化ナトリウム(NaCl)、エタノール(C2H5OH)等
混合物
混合物は、2種類以上の物質が化学的な結合をせずに混じったものです。
混合物の例
空気(窒素、酸素等)、ガソリン(炭素数4~10程度の炭化水素)、海水(水、塩化ナトリウム等)等
同素体
同素体は、同一の元素から成りますが、化学的性質が異なる単体です。
同素体が存在する元素
硫黄(S):斜方硫黄、単斜硫黄、ゴム状硫黄
炭素(C):ダイヤモンド、黒鉛(グラファイト)、フラーレン
酸素(O):酸素(O2)、オゾン(O3)
リン(P):黄リン、赤リン
同素体が存在する元素は「SCOP(スコップ)」で覚えると、古から伝わっています。
単体・化合物・混合物の区別
危険物乙4試験では単体、化合物、混合物を区別させる問題が出されます。
それほど複雑な問題は出されませんので、勉強を進めていればできるようになります。
単体・化合物・混合物の区別の出題例
単体の出題例
- 酸素(酸素、オゾン)
- 炭素(ダイヤモンド、黒鉛(グラファイト)
- 硫黄
- リン(赤リン、黄リン)
- アルミニウム
- ナトリウム
- 水銀 等
同素体の存在する元素の出題が目立ちます。
化合物の出題例
- 水
- 二酸化炭素
- ジエチルエーテル
- メタノール
- エタノール
- ベンゼン
- 硝酸
- 塩化ナトリウム 等
なお、食塩と重曹には注意が必要です。
どちらも文脈によって純物質(化合物)にも混合物にもなりうるからです。
食塩の主成分は塩化ナトリウム(NaCl)、重曹の主成分は炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)ですが、いずれも不純物を含みます。
食塩=塩化ナトリウムとして見れば食塩は化合物ですが、一般に流通している食塩は不純物を含んでいることを重視すると食塩は混合物になります。
このあたりは出題意図を読み取りつつ、他の選択肢と比較しながら判断することが必要になります。
水や二酸化炭素のような身近な物質のほか、第4類をはじめとする危険物からの出題が多くなっています。
混合物の出題例
- 空気
- ガソリン
- 灯油
- 食塩水
- 砂糖水
空気のような身近なもの、ガソリンや灯油のような危険物第4類、食塩水や砂糖水のような水溶液が出題されています。
単体・化合物・混合物の区別の考え方
念のため、簡単な問題なら解けるフローチャートのようなものをつくってみました。
あくまで危険物乙4試験の簡単な問題ようです。
正確性はそこそこ、覚える量をできる限り少なくした、試験向けの簡便な方法だということは了解してください。
(1)純物質と混合物の区別
出題された物質
↓
(a)その物質は水溶液ですか? Yes→混合物
No↓
(b)その物質名は日常語・製品名ですか? Yes→混合物
No↓
(c)だいたい純物質(物質名が科学用語っぽい)
(2)単体と化合物の区別
(c)だいたい純物質
↓
(d)その物質名は「○○化△△」または複数の元素名が入っていますか? Yes→化合物
No↓
(e)その物質名は「~酸」または「○○酸△△」ですか? Yes→化合物
No↓
(f)その物質名は「~素」ですか? Yes→単体
No↓
(g)その物質は同素体が存在する物質ですか? Yes→単体
No↓
(h)金属元素その他覚えておく単体物質ですか? Yes→単体
No↓
(i)だいたい化合物
純物質と混合物の区別について
(a)その物質は水溶液ですか?
水溶液は、溶媒である水と溶質との混合物です。
試験では、食塩水や砂糖水が出題されています。
(b)その物質名は日常語・製品名ですか?
色々なものをひとまとめにした、抽象度が高い日常語や製品名で表される物質は混合物であることが多くなっています。
試験では、空気、ガソリン、灯油、軽油等が出題されています。
このほか危険物第4類では、重油、クレオソート油、ギア油やシリンダー油等の第4石油類、食用油等の動植物油類も混合物です。
なお、食塩と重曹には注意が必要です。
問題文から、流通している食塩・重曹なのか、食塩=塩化ナトリウム・重曹=炭酸水素ナトリウムなのか、いずれを指したものなのか判断しなければなりません。
(c)だいたい純物質
あくまで試験向けの簡便な方法なので、正確な区別となっていないことをご理解ください。
ただ、危険物乙4試験で問題になることはほとんどないと考えられます。
単体と化合物との区別について
(d)その物質名は「○○化△△」または複数の元素名が入っていますか?
物質名が「二酸化炭素」や「塩化ナトリウム」のように「○○化△△」となっていれば、その物質は化合物と考えていいでしょう。
もちろん「強化液消火剤」や「栄養強化剤」のように、出題意図から外れているものは常識で除外してください。
試験では、二酸化炭素や塩化ナトリウム等が出題されています。
また、「炭酸水素ナトリウム」のように「水素」、「ナトリウム」と複数の元素名が入っている物質も化合物と考えていいでしょう。
(b)と同様に、食塩や重曹の場合には問題になるかもしれません。
その場合には文意を読み取って適切に判断する必要があります。
(e)その物質名は「~酸」または「○○酸△△」ですか?
物質名が「硝酸」や「酢酸」のように「~酸」となっていれば、その物質は化合物と考えていいでしょう。
試験では、硝酸等が出題されています。
なお、硝酸は危険物第6類の一つです。
「炭酸カリウム」のように「○○酸△△」となっている物質は化合物と考えていいでしょう。
(f)その物質名は「~素」ですか?
酸素や炭素のように、物質名が「~素」となっていれば単体と考えていいでしょう。
試験では、酸素等が出題されています。
確かに、尿素のように「~素」という名の化合物もあります。
が、危険物乙4試験でいえばそのような例外が出題されるおそれはほとんどありません。
(g)その物質は同素体が存在する物質ですか?
同素体が存在するS(硫黄)、C(炭素)、O(酸素)、P(リン)は、それぞれの同素体の名称で出題されることがあります。
同素体についての知識を単体の区別と同時に確認できるので、出題しやすいからです。
特に、炭素(ダイヤモンド、黒鉛(グラファイト))、酸素(酸素(O2)、オゾン(O3))、リン(黄リン、赤リン)については出題されやすくなっています。
(h)金属元素その他覚えておく単体物質ですか? Yes→単体
その他、金属元素等、単体である物質を覚えていくことになります。
試験では、アルミニウム(Al)、ナトリウム(Na)、水銀(Hg)等が出題されています。
金属元素その他の単体である物質をすべて覚えるのでは効率が悪すぎます。
できる限り覚えずに済むように、覚えるのであれば他の項目と関連するものから覚えていくべきです。
危険物乙4試験で覚えておくべき物質は、危険物各類に指定されている物質と水銀です。
危険物第2類:鉄(Fe)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)
危険物第3類:カリウム(K)、ナトリウム(Na)、リチウム(Li)
その他:水銀(Hg)
なお、危険物第1類、第4類、第5類及び第6類には単体の物質はありません。
(i)だいたい化合物
繰り返しになりますが、できるだけ覚える量を減らした試験向けの方法です、必ずしも正確な区別となっていないことをご理解ください。
ただ、危険物乙4試験では問題にならない程度には使えるものになっていると考えています。
単体・化合物・混合物の区別の語呂合わせ
水曜日の母さん騒動記
(ここから混合物の区別)
水曜 :その物質は水溶液ですか?
日の :その物質名は日常語・製品名ですか
(ここから化合物の区別)
母 :その物質名は「○○化△△」または複数の元素名が入っていますか?
さん :その物質名は「~酸」または「○○酸△△」ですか?
(ここから単体の区別)
騒 :その物質名は「~素」ですか?
動 :その物質は同素体が存在する物質ですか?
記 :金属元素その他覚えておく単体物質ですか?