製造所等の設置・変更の許可の覚え方
原則は市町村長、手におえなければ一つ上の行政機関に

完成検査前検査
移住に旧タンクの完成検査前検査が必要
完成検査前検査が好きよ

製造所等の設置・変更の許可【危険物乙4・危険物に関する法令】

製造所等の設置・変更の許可

製造所等の設置・変更:市町村長等の許可が必要

許可必要:位置、構造、及び設備に関する事項

申請先:市町村長等
申請者:所有者等
製造所等は、完成検査に合格(検査済証交付・受領)しなければ使用開始できない
タンクには完成検査前検査が必要

製造所等の設置・変更の許可

製造所等の設置・変更にあたっては、市町村長等の許可が必要になります。

製造所等の設置・許可の許可は、製造所等の位置、構造、及び設備の面に着目して、安全を確保しようとするものです。

製造所等を設置しようとする場合には、製造所等の位置、構造、及び設備が技術上の基準を満たした安全なものであることを市町村長が確認する必要があります。
また、製造所等の位置、構造、及び設備に変更がある場合には、改めて確認が必要になります。

このため、製造所等の設置・変更にあたっては、市町村長等が安全を確認したうえで許可することになっています。

製造所等の設置・変更の申請先

申請先=市町村長等
×消防長、消防署長

市町村長等とは

市町村長等=市町村長・都道府県知事(・総務大臣)

参考:
申請先は許可権者です。
国民の権利を制限する許可権者は、民主的な手続き(≒選挙)で選ばれる必要あります。
危険物に関する事務は消防の一部ですから、市町村の責任です(市町村消防の原則(消防組織法第6条))。

製造所等の設置・変更の申請先

製造所等(⑪移送取扱所以外)
・消防本部・消防署を設置している市町村の区域→市町村長
・消防本部・消防署を設置しいない市町村の区域→都道府県知事

⑪移送取扱所
・消防本部・消防署を設置している一市町村→市町村長
・消防本部・消防署を設置していない市町村または二以上の市町村にまたがる区域→都道府県知事
・二以上の都道府県にまたがる区域→総務大臣

製造所等の設置・変更にかかる申請先のまとめ

原則(所在している市町村による)      申請先(許可権者)
 消防本部・消防署を設置している市町村  →市町村長
(いわゆる常備消防化市町村)
 それ以外(いわゆる非常備消防化市町村) →都道府県知事

⑪移送取扱所の例外(またがる自治体による) 申請先
 (一つの市町村でおさまる        →市町村長):原則どおり
 二以上の市町村にまたがる        →都道府県知事
 二以上の都道府県にまたがる       →総務大臣

考え方は、原則は市町村長、手におえなければ一つ上の行政機関に、です。

参考:
消防本部・消防署が設置されていない市町村は、単独で大きな事務を実施しにくい小規模自治体であり、令和4年4月1日現在29町村(7都県)が該当します。
地理的な要因から設置していないことが多く、東京都小笠原村島、1都3県の 21 町村が島しょに所在します。

製造所等の設置・変更の申請者

所有者等=所有者、管理者または占有者

製造所等の設置・変更の許可申請手続

申請者(=所有者等)     申請先(=市町村長等)

許可申請        →  申請受付
               ↓
(受領)        ←  許可書交付
工事着工

│→(液体危険タンク)
│ 完成検査前検査申請 →  申請受付
│              ↓
│              完成検査前検査
│              ↓
│←(受領)      ← (完成検査前検査)検査済証交付

工事完成

完成検査申請      →  申請受付
               ↓
               完成検査
               ↓
(受領)        ←  検査済証交付
使用開始

許可後に工事着工

製造所等を設置または変更するときは、工事着工前に市町村長等に申請し、許可を受ける必要があります。
許可を受けたといえるためには、許可申請だけでなく、許可書を受領することが必要です。

×許可申請後、直ちに工事に着工

完成検査に合格してから使用開始

原則:完成検査に合格(検査済証交付・受領)しなければ使用開始できない

×許可申請はしたが検査済証交付を受けない操業
×工事完成はしたが検査済証交付を受けない操業

仮使用承認

製造所等の位置、構造または設備を変更する場合において、変更工事にかかる部分以外の部分について、市町村長等の承認を受けて仮に使用できる
→変更工事中であっても変更しない部分を継続使用できる
→一部変更であっても、変更しない部分について市町村長等の仮使用承認が必要

お上も無慈悲ではありませんが、厳しいのです。

仮使用承認については、後述の「仮貯蔵・仮取扱」と絡めて出題されることには注意が必要です。

完成検査前検査

工事完了後に検査できない部分について検査

タンクのように完成後には検査できない部分については、完成検査前に検査し、合格してからでないと完成検査に合格できません。

完成検査前検査の対象

液体危険物タンクが対象

(1)(指定数量以上の)①製造所(⑫一般取扱所)の液体危険物タンク

(2)タンク貯蔵所の液体危険タンク

③屋外タンク貯蔵所
④屋内タンク貯蔵所
⑤地下タンク貯蔵所
⑥簡易タンク貯蔵所
⑦移動タンク貯蔵所

(3)⑨給油取扱所の液体危険タンク

語呂:移住に旧タンクの完成検査前検査が必要
(①、⑫、⑨、タンク貯蔵所)

完成検査前検査の内容

原則:水張検査または水圧検査

例外:1,000L以上の屋外貯蔵タンク(←特定屋外タンク貯蔵所)
・水張検査または水圧検査
・基礎・地盤検査
・本体の溶接部検査

語呂:完成検査前検査が好きよ
す :水張検査または水圧検査
き :基礎・地盤検査
よ :溶接部検査

選択肢に出ることはあっても、乙4では合否を分けるようなものになることはほぼあありませんが、念のため。

また、あえて記憶に残るようにするなら、「婚前検査で好きよ」とかですか。
病気が怖い、という感情と一緒に覚えると忘れにくくなります。

完成検査前検査の合格項目は完成検査不要

完成検査前検査合格項目について、すでに合格しているものは完成検査は不要になります。

というより、困難になるから完成検査前検査をさせている以上、完成後に検査を求めるのは不合理です。

製造所等の変更許可申請

製造所等の位置、構造、及び設備を変更しようとする場合も、設置の場合と同様の許可が必要になります。

変更の許可申請には、規則で定める書類の添付が必要です。
当然のことなのですが、なぜか問われる事項です。

仮貯蔵・仮取扱

指定数量以上の危険物を
・消防長または消防署長の承認
・10日以内の期間
・仮に
貯蔵・取り扱うことができる

仮貯蔵・仮取扱とは

指定数量以上の危険物は、製造所等以外の場所で貯蔵しまたは取扱ってはなりません。

ただし、指定数量以上の危険物であっても、所轄の消防長または消防署長の承認を受けて、10日以内の期間、仮に貯蔵しまたは取扱うことができます。

これが仮貯蔵・仮取扱で、設置許可の例外になります。

「仮」なので、継続な施設である製造所等に比べて柔軟に対応しようとするものです。

仮貯蔵・仮取扱は出題しやすい

意外と出題されやすい項目です。
その理由は、受験者をひっかけやすいところにあります。

10日以内の期間

「7日以内」、「14日以内」、「20日以内」など、数字で混乱させてきます。
また、同じ「10日」となっている「指定数量の倍数の変更の届出」と絡めて聞いてくることもあります。

所轄の消防長または消防署長の承認

「所轄の消防長または消防署長」を「市町村長等」に、「承認」を「許可」に入れ替えてミスを誘います。

仮貯蔵・仮取扱

「仮貯蔵・仮取扱」と「仮使用」、項目の違う知識を使って揺さぶってきます。
仮貯蔵・仮取扱は、「所轄の消防長または消防署長の承認」、仮使用は「市町村長等の承認」です。
仮貯蔵・仮取扱には10日という期限がありますが、仮使用にはありません。

仮貯蔵・仮取扱については、ひっかけ方はいくつもありますが、逆にいえば正確な知識さえあれば間違うことはないので、整理して覚えておきましょう。